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新年のご挨拶

一般社団法人 情報通信エンジニアリング協会 会長 伊東 則昭

 新年明けましておめでとうございます。皆様方には、清々しい新年をお迎えのこととお慶び申し上げます。

 我が国においては、政府による日本経済再生に向けた各種の取組みにより明るい兆しが見え始めています。ICT情報通信産業の変革は、技術の進展と共に劇的なスピードで進んでいます。そうした中、総務省では重点施策2018を発表し「落ち着いて、やさしく、持続可能な社会の実現」のため、「地域への人・情報の流れを創出することで、地域経済の好循環」と、サイバーセキュリティ総合対策により、世界最高水準のICT環境を整備し「ICTによる経済成長の実現」を目指しています。2020年までに「知識情報立国」の実現を目指し、地球的な課題、我が国の課題、相手国の課題をICTにより「三位一体」解決し、グローバルな視点で「スピード」と「実践」で取り組む内容となっています。その1つの目標として挙げられているのが、2020年の東京オリンピック・パラリンピックでの世界最先端ICT環境の実現です。

 また、2017年度の情報通信白書においては、IoT化により低コストで実現可能となるビックデータ収集や、AIの解析による新たな価値創造などによって実現される「第4次産業革命」への期待が挙げられています。

 私ども通信建設業界としては、そうした活動を支えるため、これまで培ってきた情報通信建設分野での総合力を発揮することにより、社会生活や経済活動に不可欠な情報通信インフラの構築・整備・保守に取り組むことが重要になっています。

 このような環境下において、協会並びに会員会社としては基軸である「技術力」「安全」「信頼」の観点でさらに競争力を強化し、自ら新しいビジネスチャンスを活かしていく必要があります。

 ICTを支える情報通信分野において、固定系ではFTTH基盤の全国展開がほぼ完了し、モバイル系はLTEからPremium4G(LTE-Advanced)へと高速化競争も激しさを増すことで、日本のブロードバンド普及は世界のトップレベルになっています。一方で、光ファイバだけでなく無線においても、2020年に開始される5Gでは、高速大容量に加え、多数同時接続、低遅延といった特性が実現されることから、これらの特性を活かして、IoT・AI・ロボット・VRといった新しい技術が様々なビジネスに活用され、職場や生活を豊かにする多種多様なサービスの充実・拡大に期待が高まっています。これからは様々なニーズに応えられるよう通信建設業者としてビジネススタイルを変革していくことが新たなビジネスチャンスを創出することになると思います。すなわち、通信インフラの建設・開通工事という枠組みのみならず、設計から保守・運用まで仕事の幅を拡げ、更にはオフィスやお客様宅内のICT化をサポートするところまで一元的にサービスをご提供できるよう技術力を高めて、通信事業者様へご提案していくフルアウトソーシングというスタイルへの変革です。その受け皿となる技術者育成への取組みも含め、ビジネスチャンスを活かせるよう取り組んでいきたいと思います。

 このような活動を展開するに当たっての競争力の柱としては、従来から取り組んでいる施工の安全確保や品質向上、エンジニアリング力の強化と業務の効率化・生産性向上、そして人材育成への取組みが引き続き重要となります。

 安全への取組みについては、いかなる状況においても最優先すべき事項として取り組んでおりますが、事故発生件数は減少しているものの、基本動作の欠如から高所からの転落の重大事故につながっている事例が依然として続いています。基本動作を徹底するという協会統一施策を掲げ、人身事故・設備事故を撲滅し、お客様に「安心・信頼」していただけるよう、協会と会員会社で人身事故撲滅PTを立ち上げて対応するなど安全・品質向上に継続的に取り組んでいるところです。具体的には、協会理事等による安全パトロールの強化並びに会員各社等での「安全の鉄則」に則った作業の徹底と安全作業手順書の更なる充実を進めています。安全は通信建設業界の要であり、その取組みに終わりはありません。情報通信エンジニアリングのプロ集団としての更なる安全と施工技術並びに品質の向上を目指して日々研鑽に励みたいと思います。

 エンジニアリング力の強化の主要な取組みとしては、時代に即応した業界全体での技術力向上を目的として、毎年光通信工事技能競技会を開催しています。昨年は7月に「第12回光通信工事技能競技会」を京都パルスプラザにおいて開催し、約1,500人の来場者を集める盛大な競技会となりました。高度化するICT技術への対応及び工事品質、生産性の向上を図る一方、時代の要請に適合したマルチスキル化に対する実践的な総合エンジニアリング力の養成を目的として光技術とメタル技術の複合競技、テナントビル構内・宅内設備でのビジネスユーザ開通を模擬した競技種目を実施しました。今年の競技会は7月5日にパシフィコ横浜で開催を予定しています。

 また昨年11月にはアクセス設備設計・積算におけるスキル向上と品質向上を目的として、東西エリア合同での「第8回アクセスデザインコンテスト」を開催しました。設計段階における安全性確保に配慮した付加価値提案を含めた課題設定とすることで、安全意識の向上にも効果を上げると共に、各社での創意工夫の共有化や切磋琢磨の場としても効果を上げています。

 その他、日常業務を通じた創意工夫や改善をVE/VA活動として活性化し、水平展開するため昨年も「西日本ICTフォーラム」、「つくばフォーラム」への参加・展示を行いました。また業務プロセスの見直し、安全施工への取組みや工具・工法などの改善提案の優良事例を共有化し更なる改善につなげるSKY(創造・改善・躍進)大会等を全国各地域で開催しています。

 事業を支える人材の育成については、会員各社と協会が連携して取り組んでいます。協会の研修センタでは、時代の進展にあわせた新サービス・新技術の研修への反映、保守業務の拡大ならびに過去からの設備維持に必要なレガシー技術継承に対応した研修の充実など、通信建設業界の総合力向上に向けたラインアップの整備を継続します。安全関連研修については、人身事故・設備事故の撲滅に資するべく、転落・墜落等の重大事故リスクを多く取り入れた危険体感・演習を極力採り入れるとともに、施工者から管理指導層向けまで多様な研修を用意し、安全への気づき、指導力の向上と基本動作遵守を再認識する機会として役立つものとしていきます。また、お客様から信頼され時代の変化に即応したワンストップサービスの提供ができるよう、ネットワーク機器・サーバ技術に加え、クラウド・IoT・ビッグデータ等多彩なIT系の研修も幅広く実施していきます。

 技術の進展がめざましく、社会・経済情勢が急激に変化する中で、当協会と会員各社は、工事の安全はもとより、施工技術の向上や施工方法の改善・改良に積極的に取り組みながら、新たなビジネススタイルへの変革にチャレンジし、通信事業者様のバリューパートナーとして信頼され続けるよう、努めて参ります。

 最後に会員各社並びに関係各位の益々のご発展を心からお祈り申し上げ、新年のご挨拶とさせて頂きます。