事業報告

平成28年度事業報告

 ICT情報通信産業の変革は、技術の進展と共に劇的なスピードで進んでいます。そうした中で総務省では、「ICTによるイノベーションで経済成長と国際貢献」をミッションとした「スマート・ジャパンICT戦略」を取りまとめ、2020年までに「知識情報立国」の実現を目指し、地球的な課題、我が国の課題、相手国の課題をICTにより「三位一体」で解決し、グローバルな視点で「スピード」と「実践」で取り組んでいます。

 その1つの目標として、2020年の東京オリンピック・パラリンピックでの世界最先端ICT環境の実現です。このICT戦略に基づき、モバイル・クラウド・ビッグデータ・Iot等ICTの戦略的活用が求められています。

 私ども通信建設業界としては、そうした活動を支えるため、これまで培ってきた情報通信建設分野での総合力発揮により、社会生活や経済活動に不可欠な情報通信インフラの構築・整備・保守に取り組むことが重要になっています。

 このような環境下において、協会並びに会員会社としては基軸である「技術力」「安全」「信頼」の観点でさらに競争力を強化し、自ら新しいビジネスチャンスを活かしていく必要があります。

 ICTを支える情報通信分野において、固定系ではFTTH基盤の全国展開がほぼ完了し、モバイル系はLTE移行の本格化に伴い高速化競争も激しさを増すことで、日本のブロードバンド普及は世界のトップレベルになっています。一方で、オープンクラウド、ビッグデータなどの新たなコンセプトの下で、無線と光ファイバ系インフラがベストミックスするような利活用により、ホームICTなどのユーザサービス分野や、社会生活を豊かにする多種多様なアプリケーション分野の充実・拡大に期待が高まっています。

 これからは様々なニーズに応えられるよう通信建設業者としてビジネススタイルを変革していくことが新たなビジネスチャンスを創出することになる。すなわち、通信インフラの建設・開通工事という枠組みのみならず、設計から保守・運用まで仕事の幅を拡げ、更にはオフィスやお客様宅内のICT化をサポートするところまで一元的にサービスを提供できるよう技術力を高めて、通信事業者様へ提案していくフルアウトソーシングというスタイルへの変革です。そのための技術者育成への取り組みも含め、ビジネスチャンスを活かせるよう取り組んでいるところです。

 このような活動を展開するにあたっての競争力の柱としては、従来から取り組んでいる「施工の安全確保」や「品質向上」「エンジニアリング力の強化」と「業務の効率化・生産性向上」そして「人材育成への取り組み」が重要です。

 取り組みの1つ目として、安全は、いかなる状況においても最優先すべき事項として取り組んでおりますが、重大な人身事故が多発しています。基本動作の欠如から重大死亡事故につながるケースが発生しました。基本動作を徹底するという協会統一施策を掲げ、人身事故・設備事故を撲滅し、お客様に「安心・信頼」していただけるよう、協会と会員会社で人身事故撲滅に向けて各種安全対策に取り組みました。

 具体的には、安全パトロールの強化並びに会員各社等での「安全の鉄則」に則った作業の徹底と安全作業手順書の更なる充実等を進めています。安全は通信建設業界の要であり、その安全にゴールはありません。引き続き、情報通信エンジニアリングのプロ集団としての更なる安全と施工技術の向上を目指して日々研鑽に励みます。

 また、国土交通省において、建設業の中長期的な担い手の確保・育成を通じた業界の活性化が最重要課題との認識のもと、いわゆる「担い手三法」の改正や「建設産業活性化会議」の設置など、建設業を取り巻く構造的な課題への対応を加速させていますが、通信建設業界についても同様に、NTT東日本様、NTT西日本様、NTTドコモ様等とも連携し、安全で安心して働ける環境を目指し、通信建設業界全体で「構造的問題の解決」に取り組んでいます。

 取り組みの2つ目として、エンジニアリング力の強化と業務の効率化・生産性向上、品質向上の取り組みが引き続き重要です。

 エンジニアリング力の強化の主要な取り組みは、時代に即応した業界全体での技術力向上を目的として、毎年光通信工事技能競技会を開催しています。

 昨年は7月12日に「第11回光通信工事技能競技会」をパシフィコ横浜において開催し、約1,700人の来場者を集める盛大な競技会となりました。高度化するICT技術への対応及び工事品質、生産性の向上を図る一方、時代の要請に適合したマルチスキル化に対する実践的な総合エンジニアリング力の養成を目的として光技術とメタル技術の複合競技、テナントビル構内・宅内設備でのビジネスユーザ開通を模擬した競技種目を実施しました。今年の競技会は7月28日に京都パルスプラザで開催を予定しています。

 また、昨年11月8日には、アクセス設備設計・積算におけるスキル向上と品質向上を目的として、東西エリア合同での「第7回アクセスデザインコンテスト」をNTT西日本研修センタで開催しました。設計段階における安全性確保に配慮した付加価値提案を含めた課題設定とすることで、安全意識の向上にも効果を上げると共に、各社での創意工夫の共有化や切磋琢磨の場としても効果を上げており、今年は、11月16日にNTT中央研修センタで開催を予定しています。

 その他、日常業務を通じた創意工夫や改善をVE/VA 活動として活性化し、水平展開するため「西日本ICTフォーラム」、「つくばフォーラム」への積極的に参加・展示を行いました。

 また、業務プロセスの見直し、安全施工への取り組みや工具・工法などの改善提案の優良事例を共有化し更なる改善につなげるSKY(創造・改善・躍進)大会等を全国各地域で開催しました。

 取り組みの3つ目として、以上に掲げた活動を支える人材育成については、会員各社と協会が連携して取り組みました。協会の東西研修センタでは、時代の進展にあわせた新サービス・新技術の研修コース新設、危険体感を取り入れた安全意識の徹底に関する研修の強化、保守業務等の拡大に向けた研修メニューの充実等、通信建設業界の総合力向上に向けたラインアップを整備し、効果的な研修を実施しました。

 また、当業界の技術力の高さを生かしアジア新興国を対象とした技術者育成研修にも人材を派遣するなど支援しました。

 更に、電気通信事業法における工事担任者資格や建設業法における監理技術者資格等の重点資格の取得推進はもとより、ビジネスの拡大に向けてお客様へワンストップで時代の変化に即応したサービス提供ができるような資格取得を強化し、業界としてのポジショニングを高めています。

 その他、国土交通省が推進する社会保険未加入対策について「社会保険未加入対策推進協議会」と協働し、施策の推進に取り組むとともに、コンプライアンスや社会貢献並びに協会会員相互における情報発信や共有の充実による会員業務の活性化などについて積極的に取り組んでいるところです。

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