事業計画

2019年度事業計画

 世界では、ICT機器の爆発的な普及や、AI・ビッグデータ・IoT等の社会実装が進み、社会のあらゆる場面で、デジタル革命が進展しています。こうした中、政府からは「未来投資戦略2018」が発表されました。日本には、企業・大学の優れた「技術力」や「研究開発力」、高い教育水準によるポテンシャルの高い「人材層」、ものづくりや様々な現場から得られる豊富な「リアルデータ」があり、また、人口減少、少子高齢化、エネルギー・環境制約など、様々な課題に直面している「課題先進国」でもあることから、AIやロボットなどの「革新的技術」の活用によって社会課題の解決を図るとともに、新たな価値創造をもたらす大きなチャンスを迎えています。日本ならではの持続可能でイノベーティブな経済社会システム「Society 5.0」を実現するために、これまでの成功体験から決別した「非連続」な形で、従来型の制度や社会構造の改革を一気に進めていくことが重要であり、諸外国も同様の社会課題に直面し、技術革新、ソリューション提供競争が想像を超えるスピードで激化していくことから、この数年が日本にとっての不可逆的岐路であり、新たな決意とスピード感をもって進められます。

 私ども通信建設業界は、そうした活動を支えるため、これまで培ってきた情報通信建設分野での総合力を発揮するとともに、社会生活や経済活動に不可欠な情報通信インフラの構築・整備・保守に取り組むことの重要性について認識を新たにしているところです。

 このような環境下において、協会並びに会員会社としては基軸である「技術力」「安全」「信頼」の観点でさらに競争力を強化し、自ら新しいビジネスチャンスを活かしていく必要があります。ICTを支える情報通信分野において、固定系ではFTTH基盤の全国展開がほぼ完了し、モバイル系では、5Gの導入が急がれています。高速大容量・多数同時接続・低遅延といった特性が実現され、光ファイバ網とあわせて、世界に誇れる通信環境が構築されることにより、「Society 5.0」の社会実装を地域レベルでも実現する環境が整ってくることになります。

 頭脳としてのAI、筋肉としてのロボット、神経としてのIoTを使った新しいアイディアと豊富なリアルデータを活用した、個別化された製品やサービスが大きな付加価値を生み出すことに期待が高まっています。これからは様々なニーズに応えられるよう通信建設業者としてビジネススタイルを変革していくことが、新たなビジネスチャンスを創出することになると思います。すなわち、通信インフラの建設・開通工事という枠組みのみならず、設計から保守・運用まで仕事の幅を拡げ、更にはオフィスやお客様宅内のICT化をサポートするところまで一元的にサービスを提供できるよう技術力を高めて、通信事業者様へ提案していくフルアウトソーシングというスタイルへの変革です。その受け皿となる技術者育成への取り組みも含め、ビジネスチャンスを活かせるよう取り組んでいきたいと思います。

 このような活動を展開するに当たっての競争力の柱としては、従来から取り組んでいる施工の安全確保や品質向上、エンジニアリング力の強化と業務の効率化・生産性向上、そして人材育成への取り組みが引き続き重要になります。

 安全への取り組みについては、いかなる状況においても最優先すべき事項として取り組んでおりますが、事故発生件数は減少しているものの、重量物の落下等の重大な人身事故がなくなってはいません。基本動作を徹底するという協会統一施策を掲げ、人身事故・設備事故を撲滅し、お客様に「安心・信頼」していただけるよう、東日本・西日本安全部会等で安全・品質向上に継続的に取り組んでいるところです。具体的には、協会理事等による安全パトロールの強化並びに会員各社等での「安全の鉄則」に則った作業の徹底と「安全作業手順書」の更なる充実を進めています。安全は通信建設業界の要であり、その取組みに終わりはありません。情報通信エンジニアリングのプロ集団としての更なる安全と施工技術並びに品質の向上を目指して日々研鑽に励みます。

 エンジニアリング力の強化の主要な取り組みとしては、時代に即応した業界全体での技術力向上を目的として、毎年光通信工事技能競技会を開催しています。昨年は7月に「第13回光通信工事技能競技会」をパシフィコ横浜において開催し、1,971人の来場者を集める盛大な競技会となりました。高度化するICT技術への対応及び工事品質、生産性の向上を図る一方、時代の要請に適合したマルチスキル化に対する実践的な総合エンジニアリング力の養成を目的として「光サービス開通の一連の光構築・開通工事を模擬して、光ユーザ施工と光アクセス施工を複合した競技」と「光とメタルが併設された設備形態での工事を模擬して、光アクセスとメタルを複合して競技」種目を実施しました。今年の競技会は7月31日に神戸国際展示場で開催を予定しています。

 また、昨年11月にはアクセス設備設計・積算におけるスキル向上と品質向上を目的として、東西エリア合同での「第9回アクセスデザインコンテスト」を開催しました。設計段階における安全性確保に配慮した付加価値提案を含めた課題設定とすることで、安全意識の向上にも効果を上げると共に、各社での創意工夫の共有化や切磋琢磨の場としても効果を上げています。

 その他、日常業務を通じた創意工夫や改善をVE/VA活動として活性化し、水平展開するため昨年も「西日本ICTフォーラム」、「つくばフォーラム」への参加・展示を行いました。また業務プロセスの見直し、安全施工への取り組みや工具・工法などの改善提案の優良事例を共有化し更なる改善につなげるSKY(創造・改善・躍進)大会等を全国各地域で開催しています。

 事業を支える人材の育成については、会員各社と協会が連携して取り組んでいます。協会の研修センタでは、時代の進展にあわせた新サービス・新技術の研修への反映、保守業務の拡大並びに過去からの設備維持に必要なレガシー技術継承に対応した研修の充実など、通信建設業界の総合力向上に資する「電気通信工事施工管理者技師試験対策研修科」等会員ニーズに沿ったラインアップの整備を継続します。

 安全関連研修については、人身事故・設備事故の撲滅に資するべく、転落・墜落等の重大事故リスクを多く取り入れた「フルハーネス型安全帯特別教育インストラクタ科」等による指導者向け研修や危険体感・演習を極力採り入れるとともに、施工者から管理指導層向けまで多様な研修を用意し、安全への気づき、指導力の向上と基本動作遵守を再認識する機会として役立つものを実施します。

 また、少子高齢化により生産年齢人口は、今後30年で30%減少すると見込まれており、社会基盤を支える通信建設業界においても、パートナー会社も含めた慢性的な人材不足と高齢化が課題となっています。女性の活躍推進、シニア世代の活用、外国人雇用の環境整備、ICTを活用した生産性の向上等、様々な取り組みにより、安定した社会基盤を維持できるように、働き手の確保に努めます。

 技術の進展がめざましく、社会・経済情勢が急激に変化する中で、当協会と会員各社は、工事の安全はもとより、施工技術の向上や施工方法の改善・改良に積極的に取り組みながら、新たなビジネススタイルへの変革にチャレンジし、通信事業者様のバリューパートナーとして信頼され続けるよう、努めて参ります。

過去の事業報告